自分でできる断熱方法とは?窓・床・壁など箇所別に紹介

「家を建てた後に自分で断熱してコストを抑えたい」「家を建てたけれど断熱性が低くて悩んでいる」

このような悩みを抱えている方は、自分でできる断熱方法について確認するとよいでしょう。ただし、プロの業者に依頼した場合と比べて完成度が低くなりがちなうえに、効果には限界があります。

今回は、自分でできる断熱方法について、窓や床、壁など箇所別に詳しく紹介します。

目次
寒暖差が激しい家の問題点
断熱リフォームを自分で行うメリット
自分で断熱リフォームするデメリット
【窓】自分でできる断熱方法
【床】自分でできる断熱方法
【壁】自分でできる断熱方法
業者ができる断熱リフォーム
まとめ

寒暖差が激しい家の問題点

寒暖差が激しい家の問題点は、急な温度変化によって引き起こされるヒートショックです。ヒートショックは、急激な温度変化によって血圧が急激に変動し、心臓への負担が増加して心臓病や脳卒中などのリスクが高まる状態です。

暖房が効いた暖かい部屋から、暖房がついていない寒い場所に移動すると、血管が急激に収縮し、血圧が上昇します。また、温かい部屋から急に寒い場所に出ることで、体温が急激に下がります。これによって、血管が収縮・拡張する過程でヒートショックが引き起こされるのです。

特に浴室はヒートショックが発生しやすい場所の1つです。暖かい浴室内に入る前に、寒い脱衣所を通ることで急激な温度変化が生じ、血圧の変動が起こります。また、温かいお風呂に入る際にも体温が急激に上昇するため、これらの温度変化が積み重なってヒートショックのリスクが高まります。

家の中で急な温度差を避けるために、断熱性能を向上させることが大切です。床や外壁、窓などの断熱材を適切に強化し、室内の温度変化を抑えることができます。

断熱リフォームを自分で行うメリット

断熱リフォームを自分で行うことを検討する際は、そのメリットについて理解しておくことが大切です。自身にとってメリットが小さいと感じる場合は、業者に任せた方がよいでしょう。断熱リフォームを自分で行うメリットは次のとおりです。

費用の削減

断熱リフォームは専門業者に依頼すると費用がかかりますが、自分で行うことで費用を大幅に削減できます。また、材料の選定や調達方法によってもコストを抑えることが可能です。これは断熱リフォームを自分で行う最大のメリットですが、後述するデメリットも踏まえて行うかどうかを決める必要があります。

自分のペースで作業可能

専門業者に依頼する場合、工事のスケジュールや作業時間に合わせる必要がありますが、自分で行う場合は都合が良いタイミングで少しずつ進めることができます。工事の時間帯に在宅しておく必要もなく、休日の体力に余裕があるタイミングで実施できます。

自分で断熱リフォームするデメリット

自分で断熱リフォームをした結果、十分な効果を得られなかったり返ってコストがかかる事態になったりする場合があります。自分で断熱リフォームをするデメリットについて詳しく見ていきましょう。

施工技術の不足

断熱リフォームは専門的な知識と技術が必要な作業です。間違った施工方法や材料の選定によって、逆に断熱性能が悪化する場合もあります。自分で行う場合、施工技術が不足しているために、効果的な断熱ができないこともあるでしょう。また、作業箇所の周りを汚してしまい、余計な修繕費が発生する可能性もあります。

安全性の確保

断熱リフォームでは、さまざまな工具や材料を使用します。誤った取り扱いや不適切な方法によって、怪我をしたり事故が発生したりする可能性があります。専門業者は安全対策を講じて作業を行いますが、自分でする場合は安全性の確保が難しいでしょう。

材料選定の難しさ

断熱リフォームには適切な断熱材や工具の選定が重要です。適切な材料を選ばないと効果的な断熱が難しいだけでなく、コストの無駄遣いにもつながる可能性があります。専門業者は経験に基づいた適切な材料選定ができますが、自分で行う場合は事前に情報収集が必要です。

時間と手間の負担

断熱リフォームは時間と手間がかかる作業です。特に大規模なリフォームの場合、多くの時間を要することがあります。また、専門業者と比べて作業が遅くなる可能性があり、生活に支障をきたすことも考えられます。

効果の不確実性

自分で断熱リフォームを行ったものの、断熱性が十分に向上しない場合があります。専門業者によるリフォームでは確実に効果を得ることができますが、自分で行った場合は施工方法や材料の選定によっては十分な効果が現れません。

【窓】自分でできる断熱方法

窓は冷暖房の影響を受けやすい場所であり、窓の断熱性を高めることで快適な室内環境を実現できます。自分で簡単にできる断熱リフォームの方法について詳しく見ていきましょう。

窓に断熱性を高めるものを張り付ける

プチプチ(気泡入りのクッション材)、新聞紙、遮熱フィルムなど、断熱性を高めるものを窓に張り付けることで断熱性能の向上が期待できます。

プチプチは窓と部屋の間に空気の層を作り、断熱効果を発揮します。新聞紙は細かい繊維でできており、貼り付けるだけで断熱効果を得られます。

遮熱フィルムは太陽光を跳ね返すため、日差しの差し込みによる室温上昇を抑えることが可能です。

カーテンを取り付ける

カーテンを取り付けるだけでも、空気の流れが阻害されて断熱性能の向上が期待できます。厚手のカーテンや2重カーテンに変えることで断熱効果を得られます。

2重カーテンは既存のカーテンの上に取り付けるタイプのものが手軽でおすすめです。丈が少し余る程度の長さのものを選びましょう。

窓の断熱リフォームは、DIYで手軽に行える方法ですが、選ぶ素材や方法によって効果に差が出るため、適切な素材のものを選び、正しく取り付けることが大切です。

【床】自分でできる断熱方法

床の断熱性能が低いと、冬場に足元に冷たい空気が対流して寒さを感じます。床の直上には冷たい空気が溜まりやすいため、上半身は温かいのに足下から冷えてしまいます。

エアコンの設定温度を上げても、床や足元のあたりの温度は上がりません。

冷気が床から感じられる状況を解消するために、次のような断熱リフォームを行いましょう。

ラグやカーペットを敷く

ラグやカーペットを敷くことで、床下から上がってくる冷気を遮断できます。夏においても外から入ってくる熱気を遮断し、室温を保ちやすくなります。厚手のものほど高い断熱性が期待できますが、部屋のインテリアや季節感などを踏まえて自身に合ったものを選びましょう。

コルクマットやウレタンマットを敷く

フローリングとカーペットの間にコルクマットやウレタンマットなどを敷くことで、さらに床の断熱性を高めることができます。いずれも簡単に設置できるため、特に技術は必要ありません。

【壁】自分でできる断熱方法

壁の内側の断熱性能を向上させることも有効です。自分でできる壁の断熱方法について詳しく見ていきましょう。

壁紙を張り付ける

断熱性の高い素材の壁紙を壁に貼り付けることで、壁の断熱性を高めることができます。特に古い建物では壁の内側から風が入り込み、断熱性が下がる原因となることがあります。

フェルト製のパネルやクッションタイプの壁紙なども断熱性能が高く、壁に貼り付けることで断熱効果の向上が期待できます。これらの素材はピンやシールで貼り付けることができるため、特に技術は必要ありません。また、ハサミやカッターで角をきれいに処理することも可能です。

巾木を取り付ける

壁とフローリングの取り合いにはわずかな隙間があります。この隙間から暖かい空気が逃げ出し、冷たい空気が入ってくることがあります。巾木と呼ばれるトリムを壁と床の隙間に取り付けることで、隙間からの風の侵入を防ぐことができます。巾木はホームセンターで手に入るため、手軽な方法と言えるでしょう。

ソフトタイプの巾木は塩化ビニールでできており、木巾木よりも比較的簡単に加工できます。

業者ができる断熱リフォーム

今回は、自分でも簡単にできる断熱リフォームの方法を紹介しましたが、効果は業者による断熱リフォームに劣ります。より高い断熱性を求めるのであれば、業者に断熱リフォームを依頼しましょう。業者に依頼できる断熱リフォームも主な種類は次のとおりです。

内窓設置

内窓設置は、既設の窓の内側に新たな窓を取り付けることです。これにより、窓と内窓の間に空気の層ができ、断熱性能が向上します。

複層ガラス・樹脂サッシへの交換

既存の窓ガラスを撤去し、複層ガラスや樹脂サッシに交換することで、断熱性を向上させます。複層ガラスはガラス間に空気層を持つことで高い断熱性を実現し、樹脂サッシは熱伝導率の低い材料を使用しています。これにより、窓から熱が逃げるのを防ぎます。

玄関ドアの交換

玄関ドアの断熱性を高めるために交換するのも方法の1つです。古くなった玄関ドアの隙間や劣化による断熱性の低下を解消するために、断熱性能が高い新しい玄関ドアに交換しましょう。

壁内・床下・天井の断熱材の交換・追加

建物全体の断熱性能を向上させるために、壁内や床下、天井の断熱材を交換や追加する方法があります。特に古い住宅では断熱材の劣化や不足が起きていることが多く、断熱材の追加や交換によって断熱性が大きく向上することも少なくありません。

無垢フローリングの重ね張り

床が寒い場合、無垢フローリングの重ね張りを行うことで断熱性能の向上が期待できます。無垢フローリングは柔らかい木材を使用しており、優れた断熱性能を持ちます。

既存の床に無垢フローリングを重ね張りする方法は、張り替えよりもコストがかかりません。

まとめ

自分でできる断熱リフォームの方法はどれも手軽なものの、業者に依頼した方が断熱性能は大きく向上します。また、これから家の購入を考えている方は、最初から断熱性能に優れた家を建てることが大切です。断熱性能は家の快適性や電気代などに大きく関わるため、重要なポイントであることを認識しておきましょう。

コラムニスト:ちゅーピー住宅展示場モデルハウス 羽原 忠宏

  • 羽原 忠宏
  • 笑顔と元気が取り柄です(^^)/
    子育て世代の家づくりを得意としております。お客様に寄り添った営業、ご提案を心掛けています。一緒に楽しい家づくりをしましょう♪

    ・趣味:体を動かすこと

  • ちゅーピー住宅展示場モデルハウス
  • わが家という夢が望みどおり叶い、わが家と始まる未来が幸せに綴られる。そんな想いから生まれた自由設計の住まい。テクノストラクチャー工法で、耐震性・耐久性とデザインの自由度を両立しました。先進技術で夢の住まいを紡ぎ、長い人生の物語を幸せに紡ぐ。家族の想い出を重ねながら未来へと価値を受け継いでいく住まいをぜひ展示場でご体感ください。

最終更新日:24/04/30

断熱材は後から入れることはできる?メリット・デメリットを解説

建てた家の断熱性が低く、夏は暑くて冬は寒い家になっている場合、後から断熱材を入れることはできるのか気になる方は多いのではないでしょうか。断熱材を後から入れることは可能ですが、メリットとデメリットがあります。

本記事では、断熱材を後から入れる方法とそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

目次
断熱材を後から入れる方法とそのメリット・デメリット
後から断熱材を入れるときの注意点
自分で断熱性を高める方法
まとめ

断熱材を後から入れる方法とそのメリット・デメリット

断熱材を後から入れる方法は以下の2つです。

・壁や床を剥がして断熱材を入れる
・壁や床を剥がさずに断熱材を入れる

それぞれのメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

壁や床を剥がして断熱材を入れる

断熱性能を向上させるためには、壁や床の内部に断熱材を充填することが重要ですが、そのためには一度内装を剥がす必要があります。

・メリット

壁や床の内部にしっかりと断熱材を充填できるため、住宅全体の断熱性能が向上します。冷暖房効率が良くなり、快適な室内環境を実現できます。

また、内装を剥がして断熱材を入れる際に、壁や床の内部をきれいに整えることが可能です。

・デメリット

大規模なリフォームになるため、費用がかさんでしまいます。断熱材の導入に加えて内装のリフォームも行う場合、数百万円以上の費用がかかることがあります。

また、内装の剥がしや断熱材の充填、内装の再施工など、工程が多く時間がかかります。

壁や床を剥がさずに断熱材を入れる

壁や床を剥がさずに断熱材を外から持ち込む方法は、「外断熱」と呼ばれています。内側からの断熱リフォームではなく、外部から断熱材を取り付ける手法です。

・メリット

壁や床を剥がす必要がないため、大規模なリフォームよりも費用を抑えることができます。また、壁や床の内部に入るのではなく、外部から断熱材を充填するため、工期が比較的短くなります。

・デメリット

施工する空間の条件によっては、床や壁を壊さざるを得ない場合があります。例えば、床高が極端に低い場合や基礎によって制約がある場合が挙げられます。一部の空間の断熱性能向上を目的とした場合に有効な方法ですが、施工可能な条件をしっかりと確認しておく必要があります。

後から断熱材を入れるときの注意点

後から断熱材を入れる際は、次の注意点を押さえましょう。

断熱材の施工範囲

断熱材の施工範囲を正しく決めることは、断熱リフォームの効果を最大限に引き出すために重要です。部屋の熱の逃げ場を的確に特定し、必要な箇所に断熱材を施工しましょう。

窓やドア周りは熱の逃げ場となりやすい箇所です。断熱効果を高めるために、窓やドアの周囲に断熱材を追加することを検討しましょう。窓には二重窓やLow-Eガラスなどを採用することをおすすめします。

外壁や角部屋など外側に面する壁は、外気との接触が多く熱が逃げやすい箇所です。これらの壁に断熱材を施工することで、断熱性能を効率的に高めることができます。

また、空気の隙間をしっかりと埋めることも重要です。隙間があると熱が逃げる経路となるため、窓やドア、壁などの隙間を密閉するリフォームを検討しましょう。

施工範囲が広くなればなるほどにコストが高くなるため、断熱性に大きく影響を及ぼしている箇所を特定し、予算内でリフォームできるように施工範囲を決めることが大切です。

施工業者の品質

施工を行う業者の作業品質や専門知識は、断熱材の選定や施工方法、施工範囲の決定などに影響を与えます。

施工会社の実績や評判を口コミサイトや過去の施工事例などから確認し、信頼性や技術力を見極めることが大切です。また、実際に相談をしてみて、信頼できるかどうか判断しましょう。契約を焦らせるようなことはしていないか、断熱材を入れた方がよい箇所とその理由を説明してくれるか、質問にしっかりと回答してくれるかなどを確認してみてください。

現在の建物の状況

現在の建物の状況を正確に把握することは、断熱リフォームを計画するうえで重要なことです。不具合や問題があるまま断熱リフォームを行うと、リフォーム自体が無駄になるだけでなく、より深刻なトラブルを引き起こす可能性もあります。

リフォームを行う前に建物の専門家による建物検査を実施することで、シロアリ被害、雨漏り、カビの発生などの問題を特定できます。建物検査を行うことで、リフォームに先立って必要な修繕や改修を行うことができるでしょう。

これらの問題を改善しないまま断熱材を入れると、断熱材が害虫被害にあったりカビが発生したりする恐れがあります。

自分で断熱性を高める方法

断熱材を後から入れつつも、自身で断熱リフォームを行うことを検討しましょう。次の方法は専門知識がなくても簡単に行えます。

窓に断熱シートを貼る

断熱シートを窓に貼ることで、部屋に伝わる冷気をシャットアウトし、部屋の断熱性を向上させることができます。窓は建物の中でも特に冷暖房の影響を受けやすい箇所のため、断熱シートを使用することで省エネ性や快適性の向上が可能です。

プラダンを使用する

プラダンはプラスチック製の段ボールで、内部に空洞があります。このプラダンを窓に貼り付けたり、立てかけたりすることで窓と室内に空気の層を作り、部屋の断熱性を高めることができます。

窓にプラダンを貼り付けると、窓と室内の間に空気の層が生じます。この空気の層によって、室内の熱が外部に逃げにくくなり、冬場の寒さや夏場の暑さを遮断したりできます。

また、プラダンはホームセンターやリフォーム用品店などで手軽に入手できる上、軽量でありながら耐久性があるため、取り付けや取り外しも簡単です。

断熱カーテンを設置する

断熱カーテンを取り付けることで、窓からの冷気をしっかりカットできます。通常のカーテンよりも断熱性能が高く設計されているため、部屋の保温効果が高まります。特に足元から入ってくる冷たい空気をカットすることにより、部屋全体の快適性を向上させます。

断熱カーテンは通常のカーテンと同様の方法で設置できるため、専門知識は必要ありません。取り付ける際に注意すべきポイントは、裾を床にたらして隙間を作らず、冷気の侵入を防ぐことです。

まとめ

断熱材は後から入れることができますが、多くの場合は多額のコストがかかります。床や壁を剥がさない方法に対応している施工業者は限られているうえに、複数の条件を満たさなければなりません。そのため、床や壁を剥がす方法を選ぶことになる可能性が高いでしょう。

これらのリフォームのコストをなるべく抑えたい場合は、自分で断熱リフォームを行うのも1つの方法です。ただし、断熱性は暮らしやすさに大きく影響を及ぼすため、なるべく多くのコストをかけてプロの業者に断熱リフォームを依頼することをおすすめします。

コラムニスト:ちゅーピー住宅展示場モデルハウス 坂本 千奈美

  • 坂本 千奈美
  • 大人から子どもまで、家族みんなが、楽しく、思い出に残るようなお家づくりをできるようお手伝いします!日興ホームで建ててよかったね、と言って頂くために頑張ります♪

    ・趣味:映画・ランニング

  • ちゅーピー住宅展示場モデルハウス
  • わが家という夢が望みどおり叶い、わが家と始まる未来が幸せに綴られる。そんな想いから生まれた自由設計の住まい。テクノストラクチャー工法で、耐震性・耐久性とデザインの自由度を両立しました。先進技術で夢の住まいを紡ぎ、長い人生の物語を幸せに紡ぐ。家族の想い出を重ねながら未来へと価値を受け継いでいく住まいをぜひ展示場でご体感ください。

最終更新日:24/01/25

断熱とは?遮熱・保湿との違いやメリットから断熱材の種類まで解説

家の断熱は、快適な室内環境を確保するために重要な取り組みです。しかし、具体的な方法やメリットについて理解していない方が多いのが現状です。家を建てる際は、断熱について理解したうえで、業者と話し合って詳細を決めましょう。そこで、本記事では「断熱とは何か?」から遮熱や保湿との違い、断熱材の種類まで詳しく解説します。断熱のメリットや注意点も確認し、快適でエネルギー効率の良い住まいを実現しましょう。

目次
断熱とは
断熱の方法
断熱工法の種類
断熱材の種類
断熱のメリット
まとめ

断熱とは

断熱とは、住宅や建物の中への熱の伝わりを抑えることです。室内の温度は、外気温の影響を受けます。断熱性が低い住宅は夏は暑く冬は寒い状況となるため、冷暖房器具をフル稼働しなければ快適性が著しく低下する場合もあります。

一方、断熱性が高い住宅は夏は室内を涼しく保ち、冬は暖かさを守ることができるため、快適な環境を実現できます。また、部屋と部屋の温度差も小さくなるため、ヒートショックのリスクを抑えることも可能です。

断熱と似た言葉に「遮熱」と「保湿」があります。断熱との違いについて詳しく見ていきましょう。

遮熱との違い

遮熱とは、日光を反射させて室内の温度の上昇を抑えることです。例えば、遮熱ガラスやカーテン、ブラインドで日光を反射させる方法があります。ただし、室内に熱を放射する場合もあるため、適切な方法で設置しなければなりません。

断熱は、熱が伝わりにくい施工によって室内の温度変動を抑え、エネルギー効率を向上させます。一方、遮熱は太陽熱の直接的な影響を抑え、室内の温度への影響を抑える役割を果たします。両者を組み合わせることで、より快適な室内環境を実現できるでしょう。

保湿との違い

「断熱」は熱の伝わりを抑えることを指し、「保温」は温度を一定に保つことを指します。住宅に施されるのは断熱であり、保湿は通常は考慮されません。

断熱の方法

断熱には、躯体全体に施す方法と開口部に施す方法があります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

躯体全体で断熱する

躯体とは、建築用語で住宅の骨組みや基本構造のことです。躯体を通じて熱が室内に伝わるため、躯体全体での断熱が有効です。一部分だけを断熱するよりも、躯体全体に施工した方が優れた断熱効果が発揮されます。

ただし、壁、床、天井など広範囲に断熱材を施すため、それだけ多額のコストがかかります。

開口部を断熱する

開口部とは、ドアや窓など壁がない部分のことです。家の開口部を断熱することで、快適な室温を作る空気が外に逃げないようにします。開口部は、躯体よりも熱を通しやすいため、いかに開口部をしっかりと断熱できるかが家全体の断熱性能に大きな影響を及ぼします。

断熱工法の種類

断熱工法には、充填断熱工法(充填断熱)と外張断熱工法(外張り断熱)があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

充填断熱工法(充填断熱)

充填断熱工法(充填断熱)は、隙間に断熱材を詰め込む方法です。主に繊維系断熱材が使用されますが、発泡プラスチック系断熱材も使用できます。

・メリット
充填断熱工法は、安定した耐熱性能を持ち、長期間にわたって効果を維持できます。また、外張断熱工法と比較して、コストを低く抑えられる点もメリットです。

・デメリット
充填断熱工法の施工時は、柱や構造部と断熱材の接触箇所に注意が必要です。接触箇所に隙間が発生する可能性があるため、施工時には気密シートなどを使用して隙間の発生を防ぐ必要があります。

外張断熱工法(外張り断熱)

外張断熱工法は、断熱材を柱などに釘やビスで留めつける工法です。外装材の重量を考慮して、適切な留めつけ方法や間隔を選ぶ必要があります。

主にボード状の発泡プラスチック系断熱材を使用しますが、一部ではボード状の繊維系断熱材を使用します。外張断熱工法では防湿フィルムの施工は不要ですが、外気側の通気層を介して水蒸気が滞留しないようにするため、適切な通気層の設計が必要です。

・メリット
外張断熱工法は、施工後の断熱材や構造部の状態を比較的容易に確認できます。また、躯体の外側に断熱材を施すため、柱や壁などの構造部を断熱材で覆う必要がありません。これにより、断熱効果が高まります。

・デメリット
外張断熱工法は外壁の外側に断熱材を施すため、外装材の取り外しや新たな下地の設置が必要となります。そのため、建築費用が充填断熱工法(充填断熱)に比べて高額になる場合があります。

また、外装材の重さが外壁にかかることで外壁の安定性に問題が生じたり、強風や地震などの自然災害によって変形する可能性があります。

断熱材の種類

断熱材の種類によって効果やメリット・デメリットが異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

ロックウール

ロックウールは、溶かした天然岩石を繊維状に加工した断熱材です。高温にも耐える性質を持ち、燃えにくい特徴があります。また、優れた吸音性やシロアリに対する耐性が高い点もメリットです。

一方で、湿気を吸収しやすい性質を持っているため適切な防湿対策が必要です。また、比較的重たい素材であるため、建築物の構造や耐荷重に注意しなければなりません。

セルロースファイバー

セルロースファイバーは、木質繊維を綿状にした断熱材です。環境に優しく吸放湿性があり、室内の湿度を保ってくれます。一方、木質素材のために水に弱く、施工時に傷を付けないなどの細心の注意が必要です。

羊毛

羊毛は、吸音性能や防音性能、調湿性能に優れています。羊毛は密度が高く、繊維の間に空気を含んでいます。この特性により、羊毛は音の伝達を阻害する効果があります。

また、天然素材100%のため、シックハウス症候群になる心配がありません。

炭化コルク

炭化コルクは、コルク樫の表皮を原料として作られる断熱材です。コルクの細かな粒を高温の蒸気加熱と圧力で固めることで、空気層を含んだ構造を形成します。この構造により、熱の伝導を防ぎ、室内の温度を一定に保つことが可能です。

また、防音性能や調湿性能、耐腐食性と防虫性などにも優れています。

グラスウール

グラスウールは、高温で溶かしたガラスを繊維状に加工した断熱材です。ガラス繊維の繊維間に空気層が存在し、熱の伝導を防ぐ役割を果たします。これにより、室内の温度を一定に保ち、外部からの熱の侵入や室内からの熱の逃げを軽減できます。また、吸音性能や耐火性、虫害の防止などにも優れています。

ポリスチレンフォーム

ポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂の気泡で構成されている断熱材です。その構造により、熱の伝導を防ぎ、室内の温度を一定に保つことができます。また、雨水や湿気に対しても影響を受けにくい特徴があります。

さらに、湿気による性能低下や腐食などが起きにくいため、長期間にわたり安定した断熱性能を発揮できます。

ウレタンフォーム

ウレタンフォームは、発泡プラスチック系の中でも非常に高い断熱性能を持つ断熱材です。熱の伝導を抑え、優れた断熱効果を実現します。また、柔軟性と軽量性に優れているため、建築物の壁や屋根、床などの断熱材のほか、家電製品や輸送用具の絶縁材としても使用できます。

耐候性も優れており、湿気や変動する気象条件に対しても影響を受けにくく、長期にわたり効果の維持が可能です。

フェノールフォーム

フェノールフォームは、発泡プラスチック系の断熱材です。優れた断熱性能と防火性能、耐久性を持ちます。その一方で、他の断熱材と比べて高価なため、建築コストが高くなりがちです。

断熱のメリット

断熱にかけるコストを考える際は、メリットと比較することが大切です。断熱を追求するメリットについて、改めて確認していきましょう。

光熱費を抑えられる

断熱された住宅は熱を外部に逃さないため、少ないエネルギーで冷暖房機器を稼働できます。断熱性能が高い住宅はそうではない住宅と比べて建築コストが高くなる傾向があるものの、長期的な目線で見ると必ずしもコストが高いとは言えません。

冷暖房機器が長持ちする

断熱性能が高い住宅では、冷暖房機器の使用時間や負荷が軽減されます。結果として冷暖房費を節約できるだけでなく、冷暖房機器の寿命を延ばすこともできます。

ヒートショックのリスクが低減する

断熱により気密性が向上し、部屋ごとの温度差が小さくなります。それにより、温度差が大きい環境へ移動するときに起きるヒートショックのリスクが低減します。

結露が発生しにくい

結露は、暖かい空気と冷たい壁や窓が接すると生じるため、断熱材を使用して極端な温度差をなくすことで防止できます。結露はカビやダニの原因になるうえに建物の寿命を短くする恐れがあります。

まとめ

断熱とは、建物や住宅の内部から外部への熱の流れを防ぐことを指します。代表的な断熱材には、グラスウールやロックウールのような繊維状の材料、ポリウレタンフォームやエキスパンドポリスチレンなどの発泡プラスチック材料、フェノールフォームなどがあります。

断熱においては、建物の用途や環境条件に合わせて断熱材や施工方法を選択することが重要です。

日興ホームは家族構成やライフスタイルに適した平屋住宅を提供しております。断熱成に優れた住宅を求めている方、まずは詳しい話を聞きたい方など、どのような方もお気軽にご相談ください。

コラムニスト:ちゅーピー住宅展示場モデルハウス 羽原 忠宏

  • 羽原 忠宏
  • 笑顔と元気が取り柄です(^^)/
    子育て世代の家づくりを得意としております。お客様に寄り添った営業、ご提案を心掛けています。一緒に楽しい家づくりをしましょう♪

    ・趣味:体を動かすこと

  • ちゅーピー住宅展示場モデルハウス
  • わが家という夢が望みどおり叶い、わが家と始まる未来が幸せに綴られる。そんな想いから生まれた自由設計の住まい。テクノストラクチャー工法で、耐震性・耐久性とデザインの自由度を両立しました。先進技術で夢の住まいを紡ぎ、長い人生の物語を幸せに紡ぐ。家族の想い出を重ねながら未来へと価値を受け継いでいく住まいをぜひ展示場でご体感ください。

最終更新日:23/10/25